山百合会は今日も平和です。2(旧山百合会世代/聖蓉・江志・由令)








よーこー

……なあに?

終わったよー

……お疲れさま。
結構はやかったのね

へへ、でしょー
ね、ごほうびちょーだい?

はあ?

私としては珍しくがんばったのですよ

……そうね。

蓉子を喜ばせたいなーって思いながら。

そして見返りにごほうびをねだった、と。

江利子、うるさい

照れてる蓉子は可愛いけど、あなたのだらしない顔なんか見たくないし、なにより仕事進まないし

あんたが仕事のことを考えるなんて

あんたが仕事をがんばるくらい珍しいわよね

黙ってくださる、黄薔薇さま?

さっさと続きをおやりになったら、白薔薇さま?

……蓉子

あ、逃げた

ちゃんとできてたでしょ?
ね、ちゅーして?

……しないわよ。
だいたいまだ全部終わってないじゃない

え、じゃあこれも片づけたらしてくれる?

……しません。

えーじゃあ私もやらないー

……あなたねえ

蓉子を喜ばせるためじゃなかったの?

私にごほうびくれてもいいってくらい喜んでくれるわけじゃないみたいだし

暴論ねえ。

だから茶化さないでくださる?
そこのお邪魔虫。

はい蓉子。
私は全部終わったわよ

……ん。ありがとう、江利子

どういたしまして。
あ、私はごほうびはこれでいいから

は……?

あー!!

え、江利子!!

じゃあね、ごきげんよう。
蓉子もはやく終わらせないと業を煮やした聖に食われるわよー

ちょ、ちょっと、

あ、誤字脱字やなんかは適当に直しといてねー

江利子……!
……ひゃっ!

……蓉子

せ、聖?

ごほうび、江利子にだけ?

だってあれは……!

あれは、なあに?

と、とにかく、まだ今日の予定は終わってないから

……終わったら、してもいいの?

……それは、

正直、もうちゅーくらいじゃ我慢できない勢いなんだけど?

や、聖、だめ……

私ばっかりお預けは、不公平じゃない?

ん……!

まだ良いって言われてないから、しないけど、さ、

……っ

ね、蓉子?


















ごきげんよう、紅薔薇さま

……ごきげんよう、黄薔薇さま

なあに、やっぱりお疲れ?

……やっぱりって何よ

「紅薔薇さま」の時に、言っていいの?

……

あー、江利子!!

……ちょっと、白薔薇さま

相変わらず自分勝手ねえ

……姉がすみません。

……志摩子?

本当いい子ね、あなた。
じゃあてられる前にふたりで逃げましょうか

ちょっと、昨日やり逃げしといて、また逃げるつもり?

……聖!

言葉遣いも悪いし

……すみません。

だから別に志摩子が謝らなくても良いのよ。
ダージリンとオレンジペコ、どっちが良い?

……ったく

……聖、その言葉遣いは、

おまけにたいそうな独占欲。
ねえ「紅薔薇さま」、こんな奴のどこが良いの?

……っ

……蓉子!

あ……

……

……あーもうこれ以上続くなら他所でやってくれる?

……聖、だめ、せいっ!












で、志摩子、どうする?

……どう、とは?

紅茶の話。
ふたりで退散するのも吝かではないけど紅の妹たちあたり来ちゃったら困るしねえ

……江利子さまの、お好きな方で

ん?

……どちらも、同じくらい好きなので

そう?

はい。

ふうん。
ま、そういうとこ遠慮しないでくれるのは嬉しいけど

……ありがとうございます

うん、聖のこと謝られるよりよっぽど良いわ

もう「白薔薇さま」は、やめたのですか?

あなたの方が先に私を名前で呼んだんでしょう?

……あ

ふふ、無意識だった?

……からかわないでください

違うわよ、喜んでるの。
……しかしまあ本当、相変わらず元気よねえ

江利子さま、何かされたのですか?

なにが?

昨日の、やり逃げ、とか、なんとか

……志摩子からその言葉が出ると、なんというか……

江利子さま?

……あーちょっと油を注いであげただけよ。

抽象的ですね

こっちに火の粉がかからないようには一応したつもりだったのだけど

えりこ、さま?

……あー

















…江利子さま

ん?

紅茶、入りました

ありがと。
悪かったわね、入れさせちゃって

いえ。むしろ、

むしろ?

……嬉しい、です

あらあら。
ま、でも聖や蓉子に入れるのも嬉しいんでしょう?

…それは、そう、ですが

ねえ

……怒りました?

そんなに沸点低くないわよ。
志摩子の気持ちは伝わるし

本当ですか?

多分ね

ふふ、それではそういうことにしておきます

ま、全部わかっちゃってもつまらないし。
なんとなくくらいがちょうどいいわ

他の人だったらきっと怒るところですよ、それ

他の人じゃないから別に良いじゃない。
ところで、簡っ単に沸騰しちゃったあの子たちどうする?

…そうですねえ……













聖っ!

そろそろ観念したら?

そういう問題じゃないわよ!
手、離しなさい!!

どうして嫌がるの?

だって、江利子や……

下、行こうか?

…とにかく学校では、駄目よ

じゃあ今から帰る

ば、馬鹿なこと言わないの

本気だよ?

だったら大馬鹿よ!
自分の立場、わかってるの!?

蓉子だって、わかってないじゃない

は……?

ねえ、紅薔薇さま、



の前にさ。
学校の外での、蓉子の立場は?

な、何言って

答えられない?

…知らないわよ、そんなの

本気で言ってるなら、怒るよ、蓉子

怒るも何も、……っ

言うまでは絶対に、離さないから













……あ

タイムリミット?

…そうですね。

令たちが先って、珍しいわね

あ、祐巳さんたちは、図書室に寄ってから、と

ふうん。
あのふたりに共通する趣味なんてあるのかしら

違う方が、面白いかもしれませんよ

私たちみたいに?

……ええ。

なるほどね。
あ、同じ茶葉で良いわよ

え?

令が好きなのよ、これ

そうなのですか。
覚えておきますね

良いわよ、覚えなくて

…どういう意味ですか?

独占欲、って言ったら、喜んでくれる?

……どちらかと言うと困りますね

あら

…みなさまにおいしく飲んで頂きたいと思うのと、江利子さまを喜ばせたい、と思うのは

両立できない?

…それが、嫌なんです

いい子ね

……誉めてますか?

勿論。
あ、令たち、忘れ物かしら?

……

あんなに走って。
…どうしたの、志摩子?

……いい人と言う誉め方は、恋人には、

恋人には?

…普通、使わない、と。

ふーん。
まあ良いじゃない、普通じゃなければ

そういうものですか?

そういうものよ。
だって志摩子、いい子だもの

わ…

志摩子は、私にいい子って言われるの、嫌かしら?

……いいえ。
…江利子さまなら、

うん、いい子いい子

……もう、からかってますね?

そんなことないわよ?

語尾をあげないでくださいっ













ごきげん、よ、う……?

はい、ごきげんよう

え、あ……!

ちょっと令ちゃん、邪魔

由乃、ストップ!

はぁ?
さっさとどいてよ

だ、だめだってば!

わけわかんない!

はーい、取り敢えず

…ごきげんよう、黄薔薇さま?

ごきげんよう、由乃ちゃん

……あ、

うんあの子たちは放っておいていいから

…令ちゃんの、ばか

え、由乃!?

過保護って言ってんの!
…もう

まあそこで立たれると寒いしふたりとも早く入って。
痴話喧嘩ならどこだってできるでしょう?

痴話喧嘩って、

あらなあに、私と令で夫婦でいいわけ?

い、いいわけないでしょうが!!

ふうん、令は?

え、えぇ!?

令ちゃん、

あー、……えと、

令、

……よ、由乃がいいです

あら、残念

…本当にそう思ってます?

さーねー

思われても困るわよ、令ちゃんも余計なこと聞かないの!

あ、由乃

コートくらい自分で脱げるわよばか!














……もう、良い

せ、い……?

令たち来ちゃったし、

っ!

ほら、行くよ

は……?

言うまで離さないって言ったでしょう?
場所変えるって言ってんの

いやっ!

ここで続けられたいの?

ちがうわよ!

なら、抵抗しないでくれる

どうしてその二択なのよ!!

どうして? どうしてだって?

大体仕事は……!

…蓉子のせいじゃんか。

離して!

諦め悪いなあ。
江利子!

…何? 聖

ちょっとふたり抜けるから

あー行ってらっしゃい。
もう今日帰ってこなくても良いわよ

良いわけないでしょう……!

いや、蓉子が抵抗してきて鞄とか持てないからまた戻るよ。
遅くなったら先帰っちゃっていいから

はいはい。

んじゃ、そういうことで。
蓉子、引きずられてくのと自分で歩くの、どっちが良い?

……

祥子にだけは、見られたくないんじゃないの?














……嵐、でしたね

そうねぇ

令さま、由乃さん、ごきげんよう

ああ、ごきげんよう

砂糖は、どうされますか?

うーん今日はいいや、部活も体育もなかったし

そうですか。
由乃さんは?

バレーボールだった

え?

……あ、紅茶の話?
自分で用意するからいいわよ。志摩子さん座ったら?

……そう

由乃ちゃんもまだまだね

は?
何がですか!?

わからないからまだまだ、なのよ

回りくどい言い方、やめてください!!

ほら早くしないと紅茶冷めちゃうわよー

っ…どうせ、猫舌ですから!

飲む前に倒さないでね

倒しません!
そもそもどうしてそんなこと黄薔薇さまに言われなくちゃいけないんですか!

さぁ、どうしてでしょう














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書いてる本人がひとりで楽しんでた旧山百合会世代話。
リリアン在学中にくっついてたら、といういつもの聖蓉妄想だったはずがいつの間にかオールキャラ風味になっていました。いつか続きや空白を埋めたいです。江志とか。












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