痛かったり脱いでたり痛かったり悲恋だったり痛かったり喘いでたりしてます。
人格崩壊気味のものもございますので「聖蓉なら何でもOK」「むしろ痛い話が好き」な方以外はお戻りください。





























いつか、あなたのゆめが



強引に割り広げられる、羞恥に歯を食いしばり顔を伏せる。私の心境など構いもせずに、濡れているかどうかだけ確認して、すぐに入り込んでくる繊細な聖の指。ぎゅうぎゅうと締めつけてしまう私に、眉を潜めて、それでも荒々しく2本目を差し込む、優しさの消えた聖。

それで良いって、私が望んだ。

生理的な涙の裏で泣きわめく私の精神はぼろぼろに疲弊していて。聖のことを考えて考えてでも一番に愛されることは叶わなくて。期待と失望と絶望と、回り回って疲れきった私に思いもかけぬ形で縋ってきた聖。何も考えずに受け入れた私に訪れたしっぺ返しは今までの嫉妬の煉獄より過激だった。

唇を噛みしめるだけでは抑えきれない嗚咽のために、自分の指をくわえ歯を立てる。いとも容易く溢れ出る血、自分の体液なんて舐めてもちっとも嬉しくない。
苦しそうな顔をしながら私を犯す聖の寂しさを辛さを少しでも和らげてあげられるなら。
私はこれで良い。精神の充足はもう望まない。他の人を恨むのにもう疲れてしまったから、このままではいつかあなたまで憎んでしまいそうだから。
私を見ない聖に、差し出した身体をただ屠る聖に、もっと、とねだるだけを自分に許して。

ここにも多分愛はある。
たとえあなたが別の人を愛しているとしても。









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だって、もう



「……蓉子!」


全身が汗でじっとりと濡れていた。ねばっこく気持ち悪い冷や汗、更にどっと溢れ引いていた血の気がゆっくりと戻ってくる。頭が割れるように痛い。がんがんと杭で打ちつけられる痛み。


「やだ、蓉子、……ようこぉ」


もうあなたはいない。私の隣で優しく笑って、怖がる私を撫でてくれた、癒し導いてくれた、黒髪の美しい少女はもういない。どうして私を置いていったの。ずっとそばにいてくれるって約束したじゃない。


「っく……うあぁ………」


うそ、本当はわかってる。あなたを切り捨てたのは私だって。あなたを傷つけて傷つけて傷つけきって、弄んでおいて放り出したのは、この私なんだって。思うがままに振る舞って、どんな言動も最後には許してもらって、あげくもう要らないってはねのけた。何度浮気を繰り返しても、夜に昼に気を失うまで蓉子を犯し続けても、自分が苦しむだけなら咎めなかったあなたは強くてそう私には強すぎて。


「よ、こ……」


あなたを思って泣く回数は、もうきっと栞より多い。ばいばい、とあなたの愛を踏みにじった時の傷ついた表情は、私を抉り込んで今も跡を残す。私が苦しんでるのがわかったから、蓉子はその表情にすら謝罪と赦しを乞うた。ごめんなさい、と折れそうに細い指が私に触り、呆気なく私を許してしまった。その華奢な体躯には不釣り合いなほど強靭な精神で、どんな重圧も耐えてしまった。


「会いたい、あいたいよ……」


いったい何処で、間違えてしまったのだろう。閉じこもりたがる私の背を押して。けれどいつも見守っていてくれて。優しく聡明な蓉子を私は何処で歪めて壊してしまったのだろう。いや、蓉子は私がどんなに傷つけても変わらず最後の最後まで優しくて聡明だったけれど。
蓉子の居場所を、私は知らない。彼女の実家に尋ねればあっさりわかるのだろうけれど、それは今の蓉子を知っていることにはならない。私が知らない蓉子になんて会えない。私をどう思ってくれているかわからない蓉子には、とても。


「……っく」


結局、私は、今も自分が一番に可愛いままで。今のこんな弱い私すら見透かして蓉子が来てくれたらなんて薄汚れた部屋で当てもなく思うばかり。かつては蓉子も住んでいた部屋。引っ越すのすら面倒でずるずると割高な家賃を払い続けている私に似つかわしくなってきたごみの溜まり場。


「はあ、はあっ、……あぁ………」


その真ん中で落ち続ける涙を止めることもできず、ちっぽけな私は。


「…………蓉子……」


おおきなあなたの名前を繰り返し呼ぶ。
私がそう言って突き放したからもう二度と私の前には現れないだろう、あなたを。










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はやく扉を閉めて(とあるひとつのバッドエンド第二話)



「ほら、くわえて。」


蓉子の大事なところ入るんだから、しっかりね?
人指し指と中指で2本、差し込まれるというより突き刺されたといった方が正しい乱暴さで。綺麗な肌を傷つけるわけにはいかないから、慌てて開けた空間に、容赦なく入り込んで聖は傲慢な視線を私に向ける。中指が喉の奥をえづいて苦しい。胃液のような酸っぱい唾液が口の中にたまりそのまま溢れ流れ出していく。


「く……ふ……っ」


噛みつくことも引き離すこともできない私、そろそろと舌を沿わせるとほんの少し視線が和らいだ気がして。もっと優しくなって欲しくて、できたら髪でも撫でられたくて、夢中で舌を動かし、唇で付け根をおし抱いて。
触れることを許された箇所を、使うことを許された箇所で、舐め回して、くわえ愛撫する。ぎしりと悲鳴をあげる腕を無視し、ひきつれる手首の痛みも黙殺して。


「……ん」


くしゃりと、一度だけ撫でられた頭が、歓喜に染まった。おずおずと聖を見上げる。止められない涙の膜が邪魔をしてはっきりとは見えない、だけど奉仕を止めた私に不快そうな表情がうっすらと映る。もう1本欲しい? 冷たく告げる聖に私は頷くことも嫌がることもできないまま、ただ。


「ぐ……ん………んっ!」


もう全部くわえた、と思っていたのに、更に深く押し込まれた圧迫感に視界が歪む。今度こそ与えられた根元に、なかなか舌先は届かない。仕方なしに今までの舐め方に戻ろうとすると、胸の先をきつく摘ままれた。色づいた部分より少し多めに、ぎゅうと、千切れそうなくらい。


「…………!」


歯を立てないようにするので精一杯で、衝撃も激痛も受け流せないまま私はぼたぼたと涙を落とす。粘膜を守ろうと、唾も後から後から溢れ出るのに肝心の舌を浸し潤すことはかなわない。逆に2本の指の間に挟み込まれ、不規則に力を加えられ、引っ張られ、堪らず追いかけると左の手と挟み持たれたままの私の胸が遠ざかることになり血管が破れる錯覚に陥るほどの刺激が与えられ。


「………は……ぁ…」


ぬる、と舌の上から湧き出た唾液でようやく解放され虚ろに見上げる。ねえ早く、とつつかれ再会を促されまだ鈍痛の残る舌を聖の人指し指にそっと絡める。右胸がじんじんと痺れる。痛かっただけのはずなのに、今だって施してるのは私なのに、私ばかりが身体の奥からはしたなく熱いものを溢れ出させ、腿を濡らしている現実はいったい。


「う……」


もういい? と、目で懇願してみる。聖の気分を害してしまったらどうなるか知っている私の心臓は緊張で暴れ出し呼吸を余計に乱させる。だってもう私は大丈夫なの。触られてもいないのに痛いくらい反応した部分をシーツに擦りつけている方を怒られるかもしれない、ひどくされるのは平気だけど、これ以上焦らされたら、たぶん、もう意識は飛んでしまう。


「どうしようかな」


わざとらしく考えこむポーズをとって、微笑む聖に私は身体を震わせる。口の中のものを抜き取られ咳き込んで、馬鹿みたいにたくさん酸素を取り入れようとする。必死な私を聖は可笑しそうに見て、ベッドの柵からも私を解いた。久しぶりに地についた手、手首を回る最後のリボンに聖の白い指がかかる。


「え……?」


やめて、しまうの?

不安に濡れた私の瞳を覗き込む聖は矢張り面白そうなものをみる目つきをしていて。ふやけた右手の一部だけを、見せつけるようにぺろりと舐める。こんなに溶かしちゃって、そんなにおいしかった? ゆっくりと顎を引くと、ふ、と、馬鹿にしたように。


「淫乱」


ああ、その言葉で誉められているように感じられるほどには、私は聖に作り替えられてしまった。言い切られる貶めが否定が私に突き刺さり価値観を揺すり聖の存在を植えつけていく。何もかもが聖のためのものになっていく。


「あげるよ」

「……ぁあああっ!!」


喉を突いて出る悲鳴も勿論聖に喜んで欲しいから私の本能が差し出しているもので。聖が望むままの反応に次第にさせられていく身体は反り返り両足は痙攣する。疲れきった顎があがる。
本当はこんなことを考える私の意思すら、要らないのに。
弄ばれ玩ばれぐりぐりと押し入られ押し潰され、滅茶苦茶にされながら私は甘い嬌声をあげ続けた。思考回路が焼ききれ喉が嗄れ全身が動かせなくなり弱々しい反応しか返せなくなっても、まだ。










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殻の無い貝



ぶくぶくと沈んで、沈んで。

あなたに出会って、わたしは変わった。細胞のひとつひとつにまで、あなたの毒が侵入して、気がついたらあなた無しではいられなくなった。可視できる間は目が離せなくなった。いない時はあなたを思わずにはいられなかった。
あなたはそんなわたしを気にもとめていなかった。

あなたという渦に翻弄される。
わたしをもてあそぶあなたは醒めた瞳で嗤っている。わたしは異物で穢れだと、迷惑を被っているのはこちらの方だと、冷えた怒涛でわたしをなぶる。責められてなじられて、わたしはただ愚直に愚鈍に傷つき続ける。
あなたにだけしか傷つけられないのがわたしのささやかな誇りだった。

嵐はいつの間にか去り。
尖った氷山をいくつも抱え込んだまま戸惑うように風は凪いだ。わたしを血塗れにしきり、その血を溶かしわたしを沈めた。わたしはあなたの傷の一部になった。癒せない異物のままあなたを穢し続けた。

穏やかなままであなたは新たな安定を得た。渦巻かず荒れることもなく。あなたも知らない闇の中で、わたしだけを傷つけ続けながら。優しい愛を育んだ。
いつしかわたしは諦めた。せめてあなたの踏み台になれれば良いと願った。わたしが傷ついていることをあなたが知らなければ良いと思った。

わたしを暗黒に沈めたまま、突き落としたまま、あなたは笑って去っていった。いつの間にか優しく笑うようになったあなたは、ますます美しく輝くようになっていた。わたしが泥を全部かぶった。わたしがそうなることを望んだ。

もうあなたに届かない底に、わたしは今も沈んでいる。あなたがいない暗闇は、あなたの気配だけが残る。残滓にすら歓喜を得るわたしの細胞はじくじくと痛み腐り出した。口実すら作れないわたしが傷んでいった。確実に軋んでいった。

あなたの傷で腐り落ちられるならそれも良いかもしれないと、ぶくぶくと音を立て崩れていきながらわたしは笑う。あなたが染みついた細胞のままで壊れられるなら、それはわたしの望んだ結末なのかもしれない。

ぶくり、とあなたへの想いが精神を爛れさせる。
あなたの存在しない世界であなたを感じられた気がして、わたしはもう一度、微かに笑った。











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彼女の愛



「蓉子」

「なあに?」

「蓉子は、私のものよね?」

「……ええ」


だけど、私だけのものじゃない。
知ってる事柄。残酷な事実。私ではどうにもならない現実。


「愛してるって言って」

「……愛してるわ、聖」


私が「命じ」れば、蓉子はなんでもしてくれる、なんでも私に従ってくれる。死んでってナイフを渡したら、躊躇なく胸に突き立ててくれるのではと思うくらい従順。
間抜けな柄を生やした蓉子なんて見たくないし、あなたにはあたたかいままでいて欲しい。


「蓉子」

「なによ」


私を嫌わないで。もっと愛して。もっともっと優しくして。
かなわない願いはしないから、その代わり蓉子にできることは全部してよ。私だけを愛してくれてるって錯覚できるくらい。
慈愛は誰にでも分け隔てなく注がれるから慈愛なのだ。蓉子の慈しみの眼差し、それでも私は特別なんだって勘違いしてしまいそうになる。私みたいな奴を蓉子は放って置けないだけだって、頭では、わかっているのに。
そっと胸元に顔をうずめた。拒絶しない蓉子の肌は優しくて、その安寧だけが欲しくて、私はゆっくりと目を閉じた。いつものように、他のことには懸命に、目を瞑るために。








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……一応の言い訳として、とあるひとつのバッドエンド、は、こんな方向に行くはずではなかった、とか、そもそもシリーズ化するつもりもこれがタイトルになる予定もなかったのです、が。
懲りずにまだ続きますが以後も人知れずこの場(SS詰め合わせ)でこっそりやっていこうと思います……時代遡行方式で……。










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