ハッピーバレンタイン! 2011,2,14
無駄に一昨年の続きな小ネタです。
……べたべた
きもちわるい?
……当たり前じゃない
ふいとずらされたままの目線が木目をさ迷う。
さっきまで堪能してたチョコレートよりは少し薄い色。あまさ控え目の蓉子謹製は、ほとんど全部を堪能済。
でも垂らしてもいれてもな……ぃたぁっ
ばか……っ
ごす、と小気味良い音と衝撃と一緒に降ってくる羞恥混じりの罵倒が心底可愛いと思えてなかったら、この状況で笑う私はただのマゾである。
え、でも、気持ちよく
ないわよ、なかったわよ!
絶対にもうしないから
えー?
しない、しません、もうごめんだわ
活用形というには未熟だけれど小気味良い罵声が、ぽんぽん浮かんでは投げつけられる。かわいいなあしあわせだなあ拗ねてる蓉子にはついついもっと構いたくなる。
何を?
は?
蓉子さんのいう「もうしない」というのはどの範囲までをさすのかと思いまして
な……っ
怒らせないさじ加減をはかりながら間を詰める。ゼロとゼロ、蓉子からする甘い香りの多重性には触れちゃいけない。
ちゅーも駄目とかだと寂しいんだけどな?
ちがうわよ!
あ、それは蓉子も寂しいんだ
せい……っ
悲鳴に近い怒声は脳髄を溶かす。
にこやかに笑って見せたら蓉子は目をつり上げた。
話を逸らさないで!
蓉子が私の質問に答えてくれたら戻ってあげるー
調子にの
のってない
本当はすごく調子に乗ってます。
だって嬉しいんだもん。こういう行事をあなた相手にちゃんと楽しめる私は意外だけれど。
舞い上がっちゃうくらい幸せなのよ。
……今日みたいなことしなければ、その、
今日みたいなことって?
こーんなお手軽な切り返し、されるってわかってなかったとは言わせない。
さっきまでのあれこれのおかげで、どうせ後で怒られるんだし、多少そのグレードがあがったって今の状況を最大限に楽しんでおくのは別におかしな判断じゃない。
もう一度にいっと笑ってみせると蓉子は諦め力を抜いた。ゼロ距離のまま囁かれた甘い答えは、悪いけれど誰にも教えてあげない。
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