できればそっと、寄り添って(順ゆか)
妥協点を探りあう作業はいつも不毛だ。
お互い相手の性格を、状況を知りきっているからこそそれを優先させようとし、自分を疎かにする。どうにもならない袋小路を蔑み自虐の輪を作る。
その原動力はどこまでも純粋なる友情で。確かに情には違いないがこの距離にそぐうことの無い感情を、変える気が無いのはお互い様で。
はしたなく濡れる癖に、と染谷を責めてやりたくなるその脳が、ばかみたいに欲情する癖にと自己を嘲る。
明日も明後日もこの不毛は続くのだと確信しているのに、染谷と一緒にいる未来などどこからもたどり着けない気がする。例えば10年後には、自分たちは連絡を取り合うことすらしていないのではないか。
縁が途切れる想像がつかないのと同様に、結ばれる組紐の端は遠すぎて掴めない。はたはたと目前をよぎるのを、ただ、見詰めるばかり。
愚かな依存の形を、わずかなりともまだあたしにこびりついていたらしい良心が笑った。
駄目だと咎める大人の不在を、辿り着け得ない妥協を探り続ける空虚を、それでもそれなりに満たされる自分の度し易さを。
救えないあたしたちを誰にも否定されたくないから、互いの願望を変質させて円を描いてしまうことは、まだ。
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交わらないもの、平行線。(夕順)
いっ……
いたい?
痛い、けど……
けど?
……きもち、い
へんたい。
……ごめん。
謝んないで。
変態なの、やめるなら謝ってもいいけど
あー……
ムリなんでしょ?
ん……あ、…ゆぅ……っ、
…ゆ、ほ
何?
……も、ちょっとつよく、
ふうん?
してくれたら、うれしーなーとか、
……っ!
…これくらい?
うわ、
ちょっとその囁きに上目遣いは、…ぁ、
……っく
……よゆーじゃん
や、そんなことは、
……っは!
姫ってよんだら、おこるからね
まだ呼んでな……
ほら、よぶつもりだった
ま、ちょ、
……ゆうほ、
強くされるのが、すきなんでしょ?
あ……
……へんたい
ん……!
(ひどくされるのが、すきなんでしょ?
――私に。けっきょくは、支配されたいだけのくせに。)
(ほんとうは、夕歩が望むなら何でも良い。夕歩がくれるなら何でも良い。夕歩の好きなようにして、好きなようにされて、痛いのもキツいのもみんなみんな、
死ぬより苦しい愛を下さい。できたら愛じゃない方が、夕歩に好いても貰えない方が、ほんとうのほんとうは、うれしいです。)
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各タイトルはふたりへのお題ったーよりお借りしました。
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