after　カウント、ゼロ　（１） 出掛けるの、やめる？ ……ま、学園内ならいんじゃね？ 「いんじゃね」って…… …そんな、他人事みたいに そー言われてもな。 士道さん、大丈夫？ あー…… 気ィ使わせてスマンが、もう寝てっから ……え？ まァいつものフテ寝だし …いつものって、 昔っから凹まされっと騒音かき鳴らすか、布団モグるかすんだよな。 コッチとしちゃ、うるさくない方がありがてェし 一緒にいてあげなくていいの？ 寝てるヤツを前に、ナニしろっつーんだよ …… それに、 アンタと食いに行く約束のが先だったろ …約束、覚えてたんだ？ たりめェだろ じゃあ、なんで そんなキブンだったカラ ……ねえ、これ、呆れても良いの？ ベツに怒ってもイイぜ？ 反省はしねぇけど。 からりと笑う彼女は、相変わらず格好良くて。 頭の可愛らしい飾りがぱたぱた揺れていても、うっかりすると見惚れちゃいそうで。 心配、とか、気を利かせて、とか、気を回す方が馬鹿みたいに思えてしまうこの割り切りぶり。 適わないなあ、と思うのが、（そう、思えるのが、）何処かむず痒く、嬉しかった。 -------------------------------------------------------------------------------------- after　カウント、ゼロ　（２） 選択権、アンタにやンよ じゃ、柊ちゃんの個室とお別れ会 なんだそりゃ その耳、面白いし キレイなお口で嘯いときながら、お嬢、すんげえ卑猥な目付きしてマスケド。 アンタの中で面白いっつのがトリガーになるとは知らなかった。 独り占めしたい、というダダ漏れの心の声は聞かなかったことにしておいてやる。 …ったく、ケッタイなヤツだ あら、敗北宣言？ 勝負の土台がちげぇよ え？ 口元に手をやって。考え込むサマは真剣だが、さっきまでの色気が溶け残ってるせいでアレだ。無駄にエロい。 今日のこの状況下で敗北とか、あっさり口にしちまうトコは無意識なンかね？ わざとがデフォなのがコイツだが、最近それが崩れてきてンのを見てんのは中々に微笑ましくて、楽しい。 コイツには悪い笑顔だとか言われたが。 あ、 ン？ 耳、揺れた マジで？ おーおー結構ハイテクじゃねェか。 手をあてがったのは祈が先。かつ、と当たる感触が跳ねて頭蓋に振動が来る。 そのまま近づこうとして、ふと躊躇したのはおそらくココが廊下だからで。 キスのネダリ方みたいなのは、嫌味なくらい心得てやがるコイツに乗せられてやんのも、もう大概通常運行の範疇だ。 お別れ会会場予定の部屋ン中に引きずり込んだのは、だから祈の方だろーよ。 ンで、結局ナニ食うよ？ うーん、そうねえ あくまでゴ丁寧なキスの仕上げに穴空いてるとこ舐められンのも、クセっつよかお約束の領域で。 後のオタノシミ、までが約束された空間で、あっさり距離置かれんのは今度こそわざとに違いなかった。 いやしかし。冗談でパシらせたら素直に買って来てくれそうなくらいにゴキゲンだな。 その後のオレイっつか利子が怖くはあるが、怖いもの見たさも割とある。おおいにある。 まーでもシドのメシも確保しとかなきゃなんねェしな。一緒に行くか。 購買で良い？ おゥ やっぱりエロい目つきのまま、それでもメシを先に片付けることにしたらしい。 切り替え切れて無いサマと一緒に、迷ってた理由と結論の出し方を笑ってやる。 これで拗ねてくれんだから上々。今日も良い日だった。 シドみてーにとっとと終わらせちまう気は、さらさら無ェけどな。 --------------------------------------------------------------------------------------