それって、友情?(一応、+槙ゆかのつもり)




律儀にノックしておいて、ドアのハジから顔を出す。
出会いバナのごめんなさい、は一体何への謝罪だよ。いきなりの訪問自体はともかく、上条のキョドりぶりにイラついて、有無を言わせず座らせたらそのまま石になりやがった。
珈琲と茶のどっちがいいかから始まりひたすらメンドーな手間かけた結果、いきなし部屋に押しかけた理由を聞き出すことに成功する。

……要するに、いつものノロケだ。


「だから、
 つくならもうちょいマトモな嘘つけよ」

「えっ。
 ……えーと、」

「ホンキで考えてんじゃねーよ、アホか」


ぱしりと後頭部をはたく。非難、つうよりは気まずさが先立ってる表情、アンタに上目遣いで窺われても、なぁ。
まあ今度脳内で紗枝に置換しとくか。せっかくだし。


「……あ、」


ノック無しでするりと入り込んできたその本人ご登場で、一瞬空気が固まった。
……勘弁しろよ。


「あ、あの、ごめんなさいっ」

「……謝られるようなコトをしてたの?」

「してねーよ、アホか」


折り目正しいんだか単に気が弱いんだかわからない上条の態度にげんなりする。
まあ結構にヘタレ属性だよな……天の剣ってこんな奴らばっかかよ……。
属性がどーのとか言い出したのはそういえば紗枝だ。いつだったか可愛い下級生との触れ合いがどうこうでやけに機嫌良さそうな……


「……斗南さん」

「あ?」

「悪口を口癖にするのは、良くないと思うわ」

「はァ?」

「アホか、って、」

「あー?
 ベツに、口癖って、ワケじゃ」


ねぇよなあ?
同意を求めて紗枝の方向くと、一瞬の苦笑いとそれを感じさせないイイ笑顔。
……うーわ、これは、


「恋人に言うのは、もっと良くないかと」

「あのなぁ、」

「そうよね、傷つくわよねー」


ハイハイ、対神門仕様のおちょくりな。
頭ではわかっちゃいるが、そしてそれをやられるってことはある意味特別扱いでもあるんだろーが、それで嬉しくなるかっつーと、
なるワケがあるか。


「わーったよ」


適当な返事。投げやりな妥協。
あークソ、神門のコト笑えねェわ。


「オラ、上条。
 マンゾクしたんならいい加減帰れよ」

「……そうね、ありがとう斗南さん。
 お礼は今度、」

「いい、つか要らん。」

「お邪魔してごめんなさい」


ぺこりとお辞儀、パタンと退室。
ごめんなさいで始まってごめんなさいで終わるノロケ大会。
いや参加者は上条ひとりだし、いっそ突風みてーな災害扱いにしてやりてェ。


「満足、させてあげたんだ?」


わかって訊いてんだろ、アンタ。


「いつものグチだよ」


正確に言うならノロケ。げんなりの上塗りになるから口には出さねえが。
ついこの間まで遠慮しくさっていた反動なのか、最近の紗枝は独占欲を自重せず出すようになった。こっちの臨界点を測ってるよーな感もある。
浮気だ火遊びだまで行ったらブチ殺す勢いで怒ってやるが、まー実害の無い嫉妬レベルなら、とこっちも半分ゲーム感覚でいることは否定しねえ。
つーことで、前回の旋風の内容は包み隠さず白状ズミ。
(ちなみに夕飯のテーブルに押しかけられた。シドのヤツがダチのライブ行ってたのがアダになった。
ストッパーにして根本的な原因の刃友は学年違いのせいで風呂の時間だったらしい。)


「わかってるけど」


あン時はむしろアタシの反応メインに楽しんでやがったくせに。
ふとこういう横顔を見せてくんのはズリィ。
ゲーム感覚のノリで、負けた、と思わされる、柄でも無ぇ恋心。


「なんか、さびしいなぁ」

「…へぇ」

「これ、どっちに妬いてるのかしら」

「……アンタなあ」


ホント、イイ性格してらっしゃるコトで。
(そりゃ、そーゆーところも好きだけどよ。)









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タイトルはふたりへのお題ったーよりお借りしました。











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