いわゆるバトロワパロ。の、小ネタまとめ。
いつの間にかパターンB時空になってました。
(が、パターンBの末路がこれというわけでは勿論無いです。)
ストーリー物にするつもりはないので、嘘予告というか、なんちゃってダイジェスト仕様ですが、気が向いたらまた増えている……かも、知れない。








ちいさな箱庭のなかで(パロディ/fromバトル・ロワイヤル)










蹴ったのは夢だった(炎氷)




もう、無理みたいね

そうか、
――残念だ。

エモノは二つともあげるから、好きにしていいわよ。
銃の方は、貴女には使い辛いかもしれないけれど、

……不要だ

どうして?
炎雪、貴女、

メイが終わりなら、私も終わりだ。
お前のいない世界で、どう生きていけというんだ

……なら殺して。
貴女の思うように綺麗に壊して、それを見せに来て頂戴

あの世など、無い。
輪廻もくだらんが、生の次など知ったことか

そう?
でも、次があると思った方が、愉しいでしょう?

メイ?

もう一度、会いたくないの?

……わかった、
――こわしてくる

いってらっしゃい











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「やくそく。」(夕順)




ゆうほ、……ゆうほ!

……順、しずかにして

だって!

もう助からないよ、これ

そんなこと、

あるの。
ほら、これ、ないぞ

やめてよ……!

だから、おおごえださないで。
順までみつかっちゃう

ゆ、

せっかくのこの時間、じゃまされたくないし


せっかくあの人が逃げてくれたんだからとか、かんとか。
ひゅうひゅうと苦しそうな呼吸の合間に絞り出される声はすごくなじみ深いものだったから、余計に混乱してしまう。


ねえ、じゅん

……やだよ。

そう。
でも、命令にはしてあげないからね

……夕歩、

お願いにも、しないよ


そんな澄んだ目で、あたしを見ないでよ。
夕歩を無くしてしまったあたしに視線を合わせて、語りかけたりなんかしないでよ。
ねえ、夕歩ってば!


順。
こゆび、だして?

…え?

約束。
私の分まで、生きて。

……それって、

私のしらなかったこと、できなかったこと。
いっぱいかかえて、会いにきてね


じゃないとゆるさないから。
ささやくようになったその強がりが、さいごになったのは、とても、らしくて。
足はへたっている。手も、動かない。
だって今、抱きしめたら。抱きしめちゃったら。
夕歩のぬくもりが失われていくのがわかってしまうから。
絡んでいた小指がぱたりと落ちて、それはつまり夕歩が、
夕歩の腕が、生気が、
本当の慟哭は声にはならないのだと、あたしは16の春に知った。






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胸元でつっかえる言葉(綾クロ)




みんな、死んでほしくなんかないよ

…ああ、

でも、この手にもてるのは、ふたつだけなんでしょう?

……っ


小さい手。ひらいてとじて、にぎりしめて。
泣き笑いのような顔で、クロはわたしをいつものように、見上げた。
満天の空。足の間に、こいつ。
エアコンもテレビもコントローラーも無い、非日常に放り込まれて麻痺していた恐怖が、じわじわと這い上がってくる。
ゲーム脳だねえ、と会った早々で笑われたが、ただ現状を認識できたのが遅すぎただけだ。


あやながあたしに片手分を抱えてほしいのかは、わかんないけど。

……あんたこそ、


わたしで、いいのか。
友人も、仲の良い人も、そうだ血を分けた姉だって、この場にはいるだろうに。


あたしはあやながいい


こんどこそ、まっすぐ。満面で笑うこいつを、わたしは。







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笑顔、キス、ばいばい、また今度(ナン紗枝)




あんたが選んだのが、アタシじゃなくてよかった。
強がりじゃナシに、そう思う。


…ごめんね、

あやまんな、


ああ、そんな泣きそうなツラでキスしてくんじゃねえよ。
こっちはせっかく気分が良いってのに。せりあがる鉄くせぇ液体に溶けたモンは、こいつにいつも注いでた愛情のなれの果てだ。伝えたくて、どうにもなんなくて、結局こうするしかなかった代物。
あんたが全部吸い上げてくれっから、生命丸ごとくれてやるっつー夢が叶う。
ああもうあんまり痛くねーな。イロイロ致死量ブッチしてっからか。
ずぶり、胸元に突き刺さる感触は、それでも認識できた。
それにうまく笑えてんのかは、紗枝がちゃんと笑ってくれてんのかまでは、わかんねェ、な……―――







…たべちゃいたい

………おい、

冗談。


食人趣味はないわ、と笑い飛ばす紗枝。
名残惜しそうに斗南の唇を拭って、そうして指先についた血をちろりと舐めて、愛おしそうにかざし、元から閉じてる目に添えて、撫でて――
見つめていても、目を逸らしても、どちらを選んでも不釣り合いな気がした。つまりあたしの存在は丸ごとこの場から邪魔だった。
……なんで、こんなことに。
このクソッタレな数日間、幾度となく考えたことを、また思う。答えなんか出る訳が無い。


……墓、つくらなくていいのか?

そんな場合じゃないでしょう。


振り返らない紗枝が涙声ですら無いことに、あたしは安心し、同時に絶望した。
こいつに課せられる選択は、いつだって決まって理不尽だった。はなから選択権が与えられちゃいないのだから。そのくせ選んだ責任は負わせられるのだから。
細ぇ肩、泣かない紗枝、選ばれちまったあたし。
ああ、畜生。
……なんで、こんなことに。







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終わりなんて見えなくていい(順とゆかり)




――じゅん。


こちらの背筋まで伸びそうなくらい、キッパリと、凛として。
(まあたまに背筋は伸びる前に凍らされたりもするけれど。)
(あの悪寒も結構クセになる気持ちよさだったのはここだけの話。)
あたしをそうやって呼び捨て、有無を言わせない呼びかけは、少しだけ、彼女に似ていると前々から思っていた。
……ああ、やっぱりキツい、なあ。
それでもとっさに逃げ出したりはやっぱり出来ない辺り、この人のもっと分かり易い共通項に縋りたかったのかも、知れない。


やー……おひさしぶり?

ひどい声ね。
……傍に行っても、良い?

……どーぞ。

ありがとう。
貴女も、そこから降りてくれると嬉しいわ。

え、降りたところでぶすり、とか

しないわよ。
人をなんだと思っているの。

やさしいやさしいご友人でぇす。
元セフレでもありま、……とわあ!?

よりによってそれを、言う?

えーだって、
……ていうかホントにヤらないんだ?

発音、おかしい気がするんだけど。

残念ながら仕様デス。
染谷、こんなとこで余計な時間使っちゃっていーの?

貴女の方こそ、
……まあ貴女がここでこうしてる時点で、大体予想はつくけれど。

…うわあ、そめやっぽい。

……なによ。

いやいや、安心しました。
……げっ

ちょっと、しっかりしてよ

はは、ゴメン。
染谷が染谷だーって実感したら、気ぃ、ぬけた……

腰の間違いじゃないの?

や、これにひっかかってつまづいただけだから。
だいじょぶ、すぐに復活します。

復活ついでに、頭のネジも締め直しておいてね

あー、もー……
あんたのそーゆーところ、好きだわ。

……なによ、急に。

んー、染谷にフォーリンラブできたらしあわせだったんだろーなーとか、考えてました。

ネジを締めるどころか減らして、どうするのよ

…ねえ、これってさ。
他のコト考えたくないからの、現実逃避なのかな。

貴女の脳内が、お花畑じゃなかったことがあったかのような言い草ね。

いーねえ、常春のパラダイス…
染谷は黒ビキニでよろし

あんまりバカやってると、置いていくわよ。

え、
……え?

なによ、こないの?

いや、だって。
……あたしと一緒にいて、いいの?

構わないわ。
だって順、私を殺す気、無いでしょう?

……当たり前じゃん。

なら何の問題があるの?

染谷こそ、

貴女を殺して、何のメリットがあるのよ

槙さんとふたりで生き残りたいなーとか、考えない?

先輩がそれを望むなら考えるわ。

……想像つかない。

でしょう。

あーでも、あーゆーひとの、悪堕ちには興味あるかなあ

アクオチ?

綾那用語。
つか、オタク用語?

つまりロクでもないのね。

そーですねー……
うーん、やっぱり想像、つかないしなあ……

まだ生きてはいるみたいだから。
どうなってるかなんて、全然わからないけど。

それでも探すんだ?

当たり前じゃない。

……染谷ってさ。
強いよね。

買い被りよ。
考えても仕方ないことは、考えないようにしただけ。

……そっか。

私は先輩を探すわ。
それで結局、貴女はどうするの?

……んじゃ、お供します。

お庭番なら、要らないわよ

……それ、キツい

……そうね、ごめんなさい







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1回やってみたかった。
タイトルはふたりへのお題ったーよりお借りしました。












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