どんなにかっこわるくても。




「あんたが好きだよ」

「…知ってるわよ」


ふてくされたような声音は、この人のわかりにくい照れ方で、愛情の裏返し。


「ありがとう」

「…そこは告白返しするところじゃないの?」

「……嫌よそんな、恥ずかしい、バカみたいな、」

「あたしはあんた相手にならバカになりたいし、バカになった染谷を見たい」

「なっ……」

「好きだから、好きって言って欲しい」


これで2回目。2回目の告白。
綾那とじゃれるより、夕歩に愛しさをあげるより、ずっとずっと緊張する。
多分今染谷がいなかったらリバースしそうなくらい気持ち悪い。でも染谷がいなかったらこんな風になることもなかったと思うと多少楽になるんだから、人体ってバカだ。
あたしは、バカだ。


「……大体、他の子には簡単に好きっていうくせに」

「だって好かれてなくても好きだもん。
 好きって伝えるだけで満足だから、嫌われよーが嫌がられよーが好きなことには違いないから、言えるんだってば」

「……なによ、それ」

「でも染谷には拒否られたくない。
 ……好きって言わなきゃ、否定もされないでしょ?」

「本ッ当、バカね」

「…うん、知ってる。
 ……だから、」

「何でそこで、逃げようとするのよ。
 ……普通は、逆じゃないの?」

「……え? 逆、って、」

「好きな相手だからこそ、嫌われていても云々になるんじゃない?」

「…ソースは恋愛映画?」

「茶化さないで」


染谷の眼が怖い。すっかり怒ってる、そのくせ泣き出しそうな、茶化すこともできない欲望が滲んだ、
あたしをまっすぐに見つめている、彼女の魅力がこれでもかと詰まった、それが怖い。


「…本当、バカよね」

「……ごめん」

「順じゃないわ。
 私が、よ」


ぐい、と引き寄せられて、怖いけど強すぎるけど魅力的でたまらない顔が近づいて、……え?


「……っ、」

「……とどいた、」


泣き出しそうな瞳で笑うこの人を、抱きしめたくてたまらないと思うこの気持ちを。
そして欲しい気持ちと同じだけ、逃げたいと思う臆病を。
愛と呼んでも、良いですか。









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これが今の精一杯(いつかリベンジしたい)。
タイトルはふたりへのお題ったーよりお借りしました。











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