「きっと」って、ずっと(夕歩と玲)
どうして手段を選んでいられるのか、(よりによってその手段を選べるのか、)わからない。
たとえば静馬は久我の遠い親戚で、久我は静馬のお庭番で。
祈は経済的に困っていて、神門は祈を吸収したくて。神門は天地に敵わなくて。
ばっかみたいな大人の事情。知りたくないし、理解したくもない。だから何をわめかれようと、聞き入れてやる気なんてない。
私が静馬で、順が久我で、だけれど半分は同じ血で、順は盲目的に私のことを愛していて。
盲目であろうと、していて。
私の「いちばん」は、順にそばにいてもらうこと。
欲しいって、言えば良かったじゃない。
……ちげーよ、そうじゃねぇんだ。
順は私のもの。だって順がそう望むから。
だったらどうして玲も、そうしなかったの?
どうちがうの?
あたしは紗枝が欲しいワケじゃねーんだ。
ただ、あいつに、……ただ、
玲といるときがいちばんしあわせそうにみえるけど?
ちがうんだよ!
……わかんないよ
剣よりずっと細いペンをいっぽん、くるりと回して、押しつけて。
平行線をはるかに引いて、今日と変わらない明日をつくる。
緩慢にくずれていきながら、ただ歩くのに飽きると私はふらりとここに来る。
――いつまで白服なの?
聞いたことはない、聞くつもりもない。
玲からコンタクトを取られたりはしないし、お互い廊下ですれ違っても挨拶しない。
だからって隠さなきゃならないようなコトをしてるわけでも、ない。
否定ばかりで繋がって、きまぐれにお互いをあわれみ合って、遠慮なしに弱いところを抉り合って、安心をもらって。
…わかってなんて、欲しくねーし
……そうだね
この部屋は広くて殺風景で、端々に祈さんと祈さんのための残骸が散らばっていて。
ばかみたいに空虚だから、目的と手段を取り違えた病室に似ていて、望まれない充足ばかりが目について。とてもさびしいから、ばかみたいにやさしい。
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Whose guilty?裏話。つまりこれの前話。
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