無自覚と無頓着=鈍感(槙ナンで順ゆか・これの続き)





……やっぱり、タイミング悪いわよねぇ

え、

せっかくゆかりのことだけを考えて、剣を振るえるようになったのに

今までは、違ったっていうんですか

ゆかりだって、無道さんのこと考えながら振ったこと、あるでしょう?




……でも、先輩は。
言おうとして黙る、この子がいとしいと思う。
ゆかりが我を曲げるのは、本心の吐露をはばかるのは。
いつだって彼女自身ではない誰かのためだから。
それに心を痛めるのではなく、喜べるように。……私のためであるときに、傷つかずにいられるようになった矢先に、この大変革。


……むしろ、良い機会じゃないですか

え?

私はこういう忙しさ、好きですけど。


まっすぐ私に笑いかけてくるこの子から、片手分のぬくもりと信頼はもうずっと貰っていたのだと。
気づくのは遅かったけれど、手遅れではなかったことに、感謝したい。









で、なんでそれをあたしにいうかねえ?

嬉しかったから

はぁ?

おすそわけ? かしら?

…あんたなあ。
……それ聞いてあたしが妬くとか、考えないワケ?

え?
やくって……なにを?

………

…あ、やきもち?
……斗南さんが?

……っとに、イイ性格、してらっしゃるコトで

え? ええ?
だって、ゆかりよ?

あーハイハイ、言ってみただけです言葉の綾デス。
そーゆーことにしといてクダサイね!

……だって、それじゃあ。

だーらもーいーって、

…士道さんに妬かなきゃいけなくなるじゃない

……そーいうトコロも腹立つんだっつー……

士道さんと剣を振ってる斗南さんが好きなの。

…あっそ

流さないでよ。

…っ!

だいじな、ことなんだから。

ちょ、……待てコラ!

斗南さんが、好きなんだから。

……っの!
あんたはいい加減、脈絡を覚えろ!!

だって、

っざけンな!

……だって、


だって。
そう呟くコイビトの瞳は嫌になるくらい真剣で、真っ直ぐで、真っ直ぐあたしに向かっていた。
相方を惚気たその口であたしを好きという、両方まとめて宝物みたいな言い方をしてきやがる、心の底からウザくてめんどくせェ、愛はいつも変わらないから、
増えも減りもしてくれやしないから、イヤになる。






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タイトルはふたりへのお題ったーよりお借りしました。











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