擦り寄せた愛情(ルイテル)






んにゃ?

…もーちょっとカワイク鳴けないんすか

んっ……ぁ、…そ、…れっ、どーゆーの? 
…っは……!

…そーゆーの。

…ふぁ! ん、に……

だーら、ムリにネコになんなくていいっすよ


それでもにゃーにゃー鳴こうとするところはキライじゃないから、拒否までするつもりは無いことを示すために髪を撫でる。
途端心地よさそうに細められる眼、そっちのがよっぽどネコ科っぽい。獰猛に輝きながら、自分が触れるだけであっさり蕩ける、短絡した回路をそのままに走らせているコイビトは、見様によっちゃいつだってペットのようで、首輪も鎖もとても良く似合うだろうと、暇なときはよく考える。


んじゃ、そろそろ、

にっ、
…ぁ……っは、……うん、

ヤならやめますよ?

……うぅん、して。


だから今日は何やらよく解らない語呂合わせにかこつけて頼んでみた、どっかの白い人よりはやや細めの首輪と、それが余計に華奢に見えるようなぶっといチェーン。
ずっと持ってるのはしんどいしテルマさんを可愛がるのに不都合だから、端にカルビナつけてベルトに引っ掛けたその鎖を、くいと引いてやればネコのモノにはなりきれなかった鳴き声。
猫耳は昼間にうちのトップがつけてた(双月あたりが変なことを吹き込んだんだろう、たぶん)から、そっちはまた今度っつーことにしたのと引き替えに。


っ、う……あ、……ん、っ、

つらいっすか?

んっ……うん、…ま、ね、
……でも、

ん、

は、…あぁ! んや、…そっ、

…もーちょい、

…あ……ぁ、

……もー慣れたんすか、

…ぁ、
……るいる、…ぃ、

はいはい、


最初から深いキス。遠慮がないのはあっちの方だったから、こっちもがっつり受け止める、望まれるままに返す。
ふらふら、揺れてる腰と尻尾、さっきまでよりずっと細くなった眼、のしかかられてる体勢を調整して、滑らせた背中に身を捩られたのは、ぱぁん、一回軽く平手してやるお約束。


んんっ! ……ぅ、…あっ、


これでいー声聞かしてくれるんだから、タイガイですよねぇ、と揶揄するのは今日はお休み。
あーあ、マジでくわえこんじゃって、と、つぶやきながら鎖を引けば、荒い息と一緒にまるごと落ちてきた上半身が、そのまま擦り付けられる。
まあ準備しとけっつったのは自分ですけど。その言葉だけでふにゃっとした笑顔になってくれるのはテルマさんで、フツーじゃないのはお互い様。


はいはい、

…へへ、……っ、
……にゃー、


ヨユウなんて無いくせに嬉しげに笑って、猫みたいな仕草で鳴いてくるから。
じゃー最初は後ろの尻尾だけでイっときますか、と告げてやったらこれまた幸せそうに頷いてくれちゃって、待ちきれない彼女がパタパタと見えない耳もアレな尻尾も揺らしてる様は、正直ネコよりはずっと忠犬に似ていた。
今度はそっちのグッズも用意しますかね。でもわんわん鳴かれてもなぁ。
ちらと頭をよぎらせてるうちに待ちかねたペット兼恋人は、鼻にかかった声で自分の名前を呼ぶ。
ま、そっちはそのとき考えますか。ということで。






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