某昼ドラ時空で「ゆかり→槙」じゃなかったら、のif小ネタ。
・順→夕歩で順→綾那でゆかり→順で順ゆか順らしいです。よ。ひどい。








大事なものとそれ以外





や、だぁ……ゆほ、ゆう、ほ、


うまく生きようだなんて、きっとお互いに思ってはいなくて。
ただ、こういう風にしか、生きられなかっただけ。


……あや、な。


大切な人の笑顔を大切にしたくて、幸せをあげたくて。
ただ、それだけで幸せなのだと、思えてしまう自分を拒絶されるのが、怖かっただけ。



う、…ぁ……ごめ。
……ごめん、

ん、

っ……


どれもこれも、結局は、只の言い訳に過ぎないのだろうけれど。
呼ばないで。誰の名前も。
夕歩に抱かれたがる、ひどい現実にすり減りながら潰れながら残された純情を、
綾那を抱きたがる、おずおずと求めた恋慕の輪郭を、


も、いいよね。


どっちつかずのままで軽口ばかりを叩いて、つくりものの快楽に逃げ込んでは傷つきたがる、ばかで不毛なこのひとを理解した気にもなれないままで。見つめ続けた理由は私だけが知っている。
私でなくてもよかった理由ばかりを求めては、今日こそはと抱く手切れの言葉は、あなたの蕩けた啜り泣きに紛れてはらりひらりと、


…そめや、


呼ばないで欲しかったから塞いだ唇は、触れ合う前からすぐに離れることを予定されていた。
浮かされたときに呼ばれることはけして無い名前。大切な人を、大事にしたいから傷つく、そうでない人。


……あたしたちさぁ、
だれも傷つけは、しなかったよね


たとえばこんなとき、順がうめいて、わなないて、弱々しく(けれど、きっぱりと)手を伸ばすのを。
頭の奥を痺れさせながら待ち望みながら、けれど求められているのは本当は私では無いのだと思い知っている指先が震える。
爪の先がかちりと音を立て、順の歯を弾いた。
躊躇なくくわえられる、生暖かく生々しい熱を、弾力を刺激を与えられて滲む、「大切な人」の定義、愛の所在。


黙って


呼ばないで。だから好きに呼べばいい。
ささやかな、愛撫とも呼べない舐りによってほつれる身体を呪いながら、絆されて先攻を譲ったことを心の底から後悔した。
綾那の名前を散々呼ばれ、泣かれ、いとおしまれた肌が、粘膜が熱を持つ。夢のようなひとときを、夢でしかなかった悦楽を欲しがって震えた、その身震いは今度は夕歩になる。
だれが好きでも良い。だれを大切にしてくれてもいい。
順が傷つけたひとを、私だけが知っている。




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