迂闊にも今日は晴れだ。(槙ナン)
暴力的なくらいソトが眩しい。身体が重い。つか、ダルい。
だがアタシを呼ぶ声がする。好いたヤツの、好きな声。
もう少し寝かせてくれ、返したくてもかなわないまどろみを揺り動かされて、丁寧に、それでいてムリヤリに、覚醒させられて行く。
あークソ、仕方ねェな。
だいたい、こんな風に誰かに起こされるのなんざ、いつ以来だか……
おはよう
喉の奥で唸って返したアタシに、イヤミなくらい爽やかな笑顔。
にこやかに、ああ朝なんだな、と、否応無しに思い知らされちまう空気をまとって。
それが無駄にハズいのは、コイツのせいだ。
頓狂な生真面目と、優柔不断、それでいて最後のひとつだけは絶対間違えない、恥ずかしい奴。
ふふ、私が斗南さんを起こすなんて。
……ンだよ
なんだか、新鮮。
枕元(つまり、アタシの頭近く)に手を伸ばされて、反射で避けて、途端悲しそうなツラをよこす上条はすっかり通常運行だ。新鮮もクソもねェ。だいたいコッチはダルいしキシむし、新鮮どころじゃねー……つか、服着てねーな、アタシ。
気づきついでに上条の服装チェック。昨夜寝る前(寝た後?)は確かコイツは半裸、だったか……いやでも着替えてんなアレから。
……つーか制服の下のそれ、アタシの服だろ。
……アンタ昨日、帰んなかったの?
え?
どうして帰る必要があるの?
だったら着替えくらい持って来い、無計画に押し倒すな、つか平日はキホン自重しろよそもそも人並みの自重を覚えろ何事にもよらず、まったく、常識があるんだかないんだか……
寝起きナガラ言いたいことが一瞬でこれでもかと湧いて出たが、結局どれも口に出さなかったのはアレだ、眠いからだ。
ちらりと時計を見たらもうかなりギリギリの時間。朝食かこいつの着替えをとるか、……つっても後者だとどーせ説得にも時間かかんだろ……?
……もーいい。
その服、アンタにやる。
は……はいっ!?
洗って返すだのどうせ似合わないだの勝手に借りてごめんなさいだの、わーわー慌ててる上条を尻目に明日着るハズだったインナーを引っ張り出す。下着なんぞ大概ローテだ。
……ギョーシしてくる視線が朝のワリにミョーにやらしいのは、ナンデデスカネ?
……やっぱり、スタイルいいわよねえ
あっそ。
構ってたらメシ食いはぐれる。かと言ってムシ決めるとスネる。はいはいメンドクセーコトで。
口内でぼやきながら、先行って席取っとけ、と口にしようとしたところで目の前暗くなって、不意打ちの、キス。
一緒に、食堂行きましょ?
…わーったから、もー少し待っとけ。
……うん。
起こしてくれて、ありがとな。
どういたしまして。
今日も良い日ね。
そーなればいいがな。
なるわよ。
だってもう、良い日だもの。
ホント、最後のひとつだけは絶対間違えない、恥ずかしい奴。
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パターンC祭り。その3。
タイトルはreplaさまの御題よりお借りしました。
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