些細だときみが笑うことでも(※現パロ)





…もーちょっとだけ、待てなかったんですか

えへへ、良いでしょ


近づいたと思ったらあっという間に離れた古鷹さん。
やわらかい感触は唇の端で、つまり確かに唇で、こんな風に、ほんのり肌寒い秋口の2階と3階の合間でもらっていいようなものじゃないでしょう。
ねえ。青葉、だって、こういうの、弱いって、……知っててやってるんだ古鷹さんは。だってほら、青葉の目の前で、さっきちゅーした桃色の唇で、悪戯が成功したこどもみたいに、笑ってる。
かと思えばもう一度ふっと近づく。思わず身を固くした青葉に、向けてくるのはやっぱり楽しそうな笑み。え、ええっと、青葉たちの部屋まで、もーちょっと、ですよ? 青葉から歩き出さないのは、古鷹さんなんてしらないってそぶり、ちょっとでもみせられないのは、……ほら、青葉、正直者ですから。……って、わ、わぁ、


じゃあ今度は、今しかできないことね


きらきらする瞳、かわいくあがった口元、そんなものばかりに気を取られていた青葉に、さっきとは違う、でも同じくらいやわらかな、あたたかい感触。
てのひらどうしが合わさった、端から、もぞりと指が絡められて、頬があつくなりきらないうちから古鷹さんが、青葉の前で、青葉の前を、向いて、


“もーちょっと”だけ、だけど

……っ!!


はにかむ笑顔は見れないけれど、青葉ほどじゃないけど、ほんの少しだけ、古鷹さんも耳が赤い。
……と、いいな。なんて、こんなときに、思ってしまう青葉は、わるい子、でしょうか。
あと10段を3回、心臓も足取りも、こころすらがはねっぱなしなのは、きっちりふたり分だったらいいな、なんて。








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タイトルはふたりへのお題ったーよりお借りしました。









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