秋に似たアマリリス(瑞鶴×葛城)







無心で胸を吸われたら、たまには、こんな反応をするものだと思う。
ひとは。……なんていえるほど、「ヒト」の経験があるわけではないのだけれど。


……、ふ、


このひとは、どうしてこんなところに固執するのだろう。
じぶんだって、似たようなものを持っているだろうに。


……な、に、


そうおもって喉の奥で笑ったのをかみ殺した、のを、
瑞鶴さんは不満そうに見咎めて見つめて、


……あ、


噛みつくなら、別のところにしてほしかった。
どうせなら誰かに見咎められるかもしれないところに。
見つめてくれるかも、しれない、ところに。


かつらぎってさぁ、

……んぇ?


けっこう、マゾだよねえ。
それがとても楽しい、かといわれると全力で首を振る、
それなのに完全に投げやりかというとそうでもない、瑞鶴さんは。
瑞鶴さんは、わたしとふたりっきりだと、けっこう、こんな感じだ。


……そんなこと、

…そっかな、

いいですけど、

……そっか。


あのひとより分かり合えてる気はしない。
あのひとより愛されてるなんて、とんでもない。
けれど。
わたしは、こんな瑞鶴さんと、こんな風に時間を浪費しているのが。
けっこう、好きだったりする。


……ん、

………へへ、


胸だけ吸われてもそんなに気持ちよくないけれど、瑞鶴さんが、ほら、楽しそうだから。
幸せそうだからと錯覚はしきれない癖に、わたしはきょうもこんなになってしまうのだ。








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