なんでもない海(瑞鶴×加賀)










は、……あ、ぁ……っ!


ひきつるような声を上げて加賀さんがのたうった。びくびく、震えたけれどたぶんまだイッてはいない、せわしなく吐かれる息が愛おしくて飲み干してしまいたくてでも勿体ない。


ずいかっ、……ぁっ!!


くりくりと苛め続けているところ、ちょっとパターンを変えるだけで加賀さんは仰け反ってくれる。堪えて耐えてこらえて、眼に涙を溜めて、噛み締めた唇から血を滴らせてもまだ強情に喘ぎ声を聞かせてくれなかった頃の加賀さんだって好きだったけれど、いまは、そう、いとしいという思いが先に立つ。
こんなに酷いこと、してるくせに、愛してますって胸張って言える。


かがさん、

っ!! ひっ!!


最後の、ん、を、わざと鼻から抜かせて。
クリトリス弄ってた親指をぐっと押し込んで、同時に中指と薬指にも力を籠める。加賀さんの中がぎゅうぎゅうと締め付けてきて、ああ、でも、やっぱりまだ、


ね、もう、


いやいやと首を振る理由にはうすうす気づいている。でも、ほら、夜もこれからの私たち、も、まだまだ、長いんですし。
胸元に繰り返していたキスを、頬に瞼に、伸びあがって散らしたら満足と不安が同時に溶けた吐息がかかった。いつでもイカせてあげますよ、イキたがってないのは、勿体ながっているのは、加賀さんの方でしょう?
ぱさり、振られてはまた広がるこの人の黒髪に触れたいのに指が足りない。固く握りしめられている左手にさっきまではまっていた指輪、えっちのときに外すようになったのはわたしは最初からだったけれど、加賀さんは。どうせみんな同じ規格なんだから、あの人に練度上限の解放という以外の意図なんてないのに、律儀に悩んでくれた加賀さんをとびきり可愛がってあげてしまったせいで、いまでもたまに、この人は迷子のような目をしてる。


は、あ、…あああ、……んっ――!!



あ、こらえきっちゃった。
こつこつ積み上げきってあふれてしまった、小さな果て、右手の動きを止めて加賀さんにちゅっと音を立ててキスをする。あふれてあふれて、おぼれながら次のところまでいけるように。












--------------------------------------------------------------------------------------











inserted by FC2 system