(如月と提督)
私のこれは習慣で、性格さ
運命とまで言い切ってやるつもりはないがね。
そう嘯く提督は今日も相変わらず冴えない風体で、冴えない作業に勤しんでいる。
……今度はどこのポエムですの
せめて格言と言ってくれよ。
それと私の前でまで、熊野の真似はやめてくれ。
あなたの前だからするんじゃないですか
それは敬語という意味で?
熊野のためという意味で?
どちらも、ですわね?
…お、今のちょっと似てた。
それはどうも。
それと、
ん?
熊野さんのためではなく、
わたしのためですわ?
それはいい。
……前にもこんな会話、したっけな。
そうねえ
このひとに遠慮は要らないと、覚えたのはあの頃だった。
もっとも当時は不用意な発言をしきりに反省していたので――いまとなっては懐かしいを通り越して殺意すら覚える忘れたい記憶だけれど。
お前は充分魅力的だよ
……あ、そ。
女なのが勿体無い。
…喧嘩なら買いますわよ
いいや、私がさ
……
ああ、ばかだなって。
遠慮する必要の無い相手に、
口に出すなんてとんでもないと思える自分が、
私は実のところ、思いのほか嫌いでは無い。
……実はあのときの続きだ。
知ってるわよ?
…そうか。
媚びも敬語も剥がしたあとに、このひとが見せる、
この表情を机越しに眺めることも。
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