ぬくもり狙い撃ち(如月と睦月型)
はい!
そういって差し出されたのは真っ白くラッピングされた、軽い箱。
…ありがとう、
…私と卯月で選んだ。
ん!
如月ちゃんの晴れ姿、見たかったぴょん。
いつものぬいぐるみが鼻先に来ていたから、慌ててのけぞる。
ち、って言ったのは卯月の素、っていうか加古さんの影響よね、そうよね?
……でも買ったのはみんなで、だから。
……そうなの?
こくこくと頷くすぐ下の妹と、ぶんぶんともっと大きく首を縦に振っているその下の妹。
弥生が必死で説明しているのは、卯月との約束か、はたまた睦月の指示かしら。
どちらでもいい。嬉しい。
いま、開けてもいい?
もっちろんだぴょん!
……うん。
包装と重さから、なんとなく予想してはいたけれど。
いつも私が使っている化粧ポーチの、……もうひとつ大きいサイズで、グレードの高いもの。
……中身まで入ってる、
ふふー、そっちは陸奥お姉さんたちにリサーチしたんだ、ぴょ
…卯月、
弥生に睨まれて口をつぐむ卯月に、言われなくても。
ファンデや、チークや、……あれこれのラインナップをみれば、それぞれ、選んだひとの顔が容易にみえてしまって。
その中にひとつ。化粧品としてくくってしまうにはふさわしくない気すらする薄黄色のリップは、出撃も秘書艦任務も無いオフの日に私が愛用しているもの。……多分、睦月が選んでくれたもの。
……ありがとう、
えへへ、
……うん、
ひとつひとつ、くれたひとにお礼を言わなきゃなあ、(数えたらちょうどだったから、きっと、「指輪持ち」の先輩たちが結託してくれた結晶だし、)と思っていた、つまりは少しだけぼんやりしていた私の隙をついて。
でもやっぱり抱きつくのもやるんだぴょん!
ひゃあっ!?
……如月、危ない
わたしですの!?
思わず落としかけたポーチをぎゅっと掴んでからそっと触れてくる弥生も。
遠慮なしに背中からのしかかってきた卯月も。
来てくれたときはすごく嬉しかったよね、と、つい数日前に睦月が言っていたことを思い出して頬が緩んだ。
「改造の方は、すぐに追いつくから」
「待っててなんて言わないから、先を走ってて」
「私たちの如月ちゃんは、かわいくて、かっこいいんだから!」
私の姉は、いつだって私の、私たちの旗印だ。
……抱きつき方が一番アレでしつこかった、っていうのは、だから、しょうがないから水に流しておいてあげる。
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XX14.04.22
如月(106)、改二化。
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