糖分補給は程々に(明日まで地続きアフター)
……いったいどこの供え物よ
加賀さんが無事に返ってきてくださってありがとうございますと拝むための
やめて。
……ごめんなさい。
…これ、片付けておいて。
はあい。
空になった湯呑を顎でさせば、すんなりと立ち上がって水場へ向かう瑞鶴を見送る。
お茶請けのような形で備えられて(供えられて?)いた干菓子を見つめる。彼女の後ろ姿が少しばかりしおれているように見えるのはこれのせいだろうし、十日を越える長期の出撃から帰投して早々に米神の辺りが痛い気がする原因も同じだ。
盛大にため息は吐いてやったけれど、受け取り拒否をしなかった理由は無論、
……嫌いでした?
違うけど。
そういう聞かれ方をされれば、確かに、違う、のだけれど。
次があるなら羊羹か和三盆ね
えー、……え? ……はいっ!?
慌ててメモか何かを取ろうとしている瑞鶴を胡乱に見つめる。一発で覚えなさいよ、それくらい。
とりあえず、どうぞ
えっ、はい、……っていまですか!?
そう、いま。
お茶菓子として食べましょうよ!?
いやよ、勿体無い。
いや意味わかりませんからそれ!?
しおれたり慌てたり、青くなったり赤くなったり、挙句目を白黒させている恋人を眺めながら半分に割った落雁を口に含めば、よく言えば素朴で優しい、正直に言えばぱさついた砂糖の味が広がった。
あの商店街で買ったお土産だと言ってたから、まあこれくらいが妥当でしょう。甘くて美味しいし瑞鶴は可愛い。ちょっと落ち着いたところでどうせなら抹茶が飲みたいといって困らせる予定まで含めて、とても素敵な疲労回復方法だ。
ありがとう。
…どういたしまして!
思わず綻んだ頬を隠そうとして私が瑞鶴の前に置いた片割れを思いっきり齧って、そして思わずうえっという顔をしたところは完全に減点だ。私の視線にびくんと震えて、しゅんとしたところは可愛らしいけれど。
それにしたって。
…ずいかく、
……あっま、
そうね、
うー、くちなおし……
はいはい、
端からちらちらと私を伺っていては、不意を討つも何も無いってこの子はまだ気づかない。
同じものを食べているはずなのに、彼女の口内はどことなく私のよりも甘かった。
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