幸福は片道切符(古鷹×青葉)







だって青葉は、無垢な笑顔でそう言ったのだ。


……嬉しいなあ


だからわたしはがんばった。いつもだって手を抜いていたつもりは無いけれど、戦隊の皆にちょっと呆れられちゃうくらいがんばった。背伸びしては突っ込んで、がんばる理由の一番が青葉になった。
青葉だって重巡だもん。三川艦隊の一員で、かつてはわたしたちの旗艦で、わたしたちの誇りで、わたしたちの一欠片で、わたしたちの、わたしたちが、
わたしが、と、言えることは、本当は。とても、とても、少ないから。


……だめです、古鷹さん。
ごめんなさい、ふるたかさん。
こんなの、……やめて、


許しを乞うように揺れる瞳が、上目遣いと呼べるくらいの角度から差し入れられる、その瞬間のために生きているのかもしれないとさえ思う。
本当に、許しを乞いながら生きている青葉はとても嫌いだから、思い出すとちょっと意地悪しちゃうけど。それにさえ、んん、とかなんとか、甘い声をあげる青葉は馬鹿だ。愚かで大馬鹿で、だけどそういっていいのは私だけなんだから。
……そう、言われていいのは、いまの青葉だけなんだから。だから、ねえ、見せてよ。あの笑顔。あの声。


ふるたかさん、ふるたかさん……!


わたしのいないところでしか笑ってくれない青葉のこと、他のひとに教えてもらうの、本当は、すごく、すごく嫌い。
わたしががんばってなんとかなることならなんでもするから、だから、ねえ、あおば、おしえて?








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