今年の加賀さんの新年ボイス何なの(瑞鶴×加賀)





さて、加賀。
今年の抱負は?

……書き初めは明日では?


まさかこの男そんな常識も持ち合わせていないのか。
戦術論以外は艦隊運営には不要だと豪語するには線が細く、どちらかというと文官に近いようにさえ見える姿をそれなりに役立てるにはいっそ致命的な欠陥ではないかしら?
胡乱に見つめれば快活に笑われる。片手を挙げる、降伏の印に見えなくもないけれどその実相手の反論を押し留めるための堰を設けたに過ぎない仕草は私の指摘など重々承知しているよという自己主張だ。仮にも提督なのだから、一言言えば、何ならそのまま叱責でもしてくれた方がどんなに楽だろうか。新年早々疲れさせないで。


ああ大丈夫、今年の掛け軸はもう頼んだんだ

そういう話をしたかったわけでは、

ん? でも君、翔鶴を羨ましがっていただろう?

っ!!

え、


ばっと瑞鶴の方を向けば、驚きと照れが盛大に混じった、大層混乱した百面相を晒していた。
……まあにやにやとからかう余裕がなさそうで良かったわ。目の前でそれにかなり近い表情をしている男には大変腹が立つけれど。


いや、まあ、これも一種の任務でな。
今年はうちに白羽の矢が立ったというわけだ。


君にも俺にも、土台拒否権は無い。
私服のまま執務机にふんぞり返っている、本来は休日であるはずの男は。
提督として艦娘に指示を出すときにしか使わない声で今年初の命令を下す。


……はぁ、仕方ないですね。


それでも最初に呼び出してきたときに、秘書艦の準備をしなくて良いしすぐ済むからという付言があったことを存分に活用させてもらって。
隣に本人がいるのは存分に気恥ずかしいけれど、それすら今年乗り越えるべき壁のひとつかもしれないとさえ思えるのだから、なるほど命令という免罪符は気楽だ。
新年の挨拶。どこかで録音か書き起こしはされているのだろうが、過去の記録を見ても皆ずいぶん好き勝手しているのだし、一緒に執務室に入りたがった瑞鶴を止めなかった時点で好きにしろということでしょうし。というわけで。


っ、……はぁ!?


そもそもこんなことが即座に思いついたのは、加賀さんは夜ばかり素直だなどと言ってくれるついこの間の貴女のせい。せっかく提督の前で宣言してあげたというのに、そんな、鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしないでくれるかしら。クリスマスに引き続き、自分で干支を表現するとか、貴女ちょっと身体を張りすぎじゃないの。くつりと嘲笑ってあげれば「前言撤回! ちっとも素直じゃない!!」と叫ばれたその晩は、噴き出した私が結局最後までその気になれなかったせいで姫始めとはいかなかったけれど、この生を受けてから間違いなく一番の初夢を見ることができた。まったく、貴女のおかげよ。











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今年もよろしくお願いします。
干支をまちがえるという痛恨のミスに遭遇した方は笑って忘れてください。(










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