かわいく言ってもダメ(なちぼの・これの続き)
彼女の部屋をノックしたのはあたしだったけれど、来て欲しがっていたのはそっちだった。
落ち込んでいたのはあたしだったけれど、構われたがっていたのは彼女、つまり那智だった。
食堂でうっかり目と目が合って。無意識に探しては自己満足を覚えるほどもう青くないけど、すれ違えば挨拶するし、たまにスキンシップも入るし、こういう偶然があれば一瞬でお互いは丸裸だ。
あー、なんでこうなったんだっけ、なんていっちょまえに考えて、悩んでみたこともあったっけね。そういえば。
今のあたしなら、ばっかじゃないの、と、昔のあたしに向かって言い放ってあげられる。
それくらいには自信があるし手放す気などさらさらない、あたしと那智の関係。
…ばーか
……おい、
白い布に向かってもらせば、予想通りのタイミングで、予想通りの言葉が、
予想通りの距離から落ちて来て。
予想するなんて真似すら本当は馬鹿馬鹿しい、呆れた声は甘くなんてないけど、それがたまらなく心地良いの。
わたしに言ったのではあるまいな
半分はあんたによ。
あたしたちの関係性について毒吐いてやったんだから。
このまま真横にごろごろ転がりたいような、そのまま那智にごっつんこしたいような身体のむずがりは、羞恥になりきれなかった感情の犯行。うーん、でもダルい……いつもよりいっかい、じゃない、半回分、多かったし……
…このまま寝ていー?
服は着ておけ
着せて。
襲うぞ。
そんな気、半分くらいしか無いくせに。
50パーセントの賭けなんて、退屈過ぎて欠伸が出るわ。
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タイトルはふたりへのお題ったーよりお借りしました。
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